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西田亮介『情報武装する政治』角川書店

 

情報武装する政治

情報武装する政治

 

 

・読んだきっかけ

同著者の『メディアと自民党』『政治はなぜわかりにくいのか』が面白かったので、2017年の衆院選を踏まえた論考が気になり、ポチった。


・あらすじ

インターネット登場以降、

さらなる技術革新とその利活用により、

政治家、政党のメッセージは、

よりスマートな形で我々の生活に入り込みつつある。

自民党を中心に各政党の

メディア戦略の実態を解き明かす。

 

・目次

 はじめに

第一章 複雑化する世界と日本の政治

 世界的な「政治のわかりにくさ」

 覆される「政治の常識」

 2017年衆議院選挙

 民進党分裂の末路

 争点にならなかった改憲

第二章 ポスト・トゥルースとは何か

 ポスト・トゥルースとは何か

 インターネットが生んだポスト・トゥルース

 日本でのポスト・トゥルース現象

 イメージ政治と選挙フェス

 SNS活用の流れ

第三章 日本の情報環境とその変容

 爆発的に変わるメディア環境

 各メディアに対する信頼

 既存メディアの縮小

 ネットとジャーナリズム

第四章 情報武装する政治

 政治のメディア活用の歴史

 インターネットと世界の選挙

 日本のネット選挙への道筋

 精緻化するポピュリズム

 最新技術が選挙を動かす

第五章 自民党のメディア戦略

 いち早くネットに対応した自民党

 政治とメディアの「55年体制

 政治がメディアに留保していた時代

 小泉政権で進んだイメージ政治

 メディア戦略の内製化

 民主党の広報の失敗

 メディア戦略が結実した2013年参院選

 自民党の若者向け対応

第六章 主要政党の情報発信の現況

 変わる広報戦略

 主要5政党による広報戦略

 組織力で広報する共産・公明

 耳心地よい情報加工

第七章 理性の政治への道筋

 「集団極化」のなかで

 自民党が進めたイメージ政治

 自民党一強を支えるもの

 理性の政治の条件


・感想

著者のこれまでの論考を総まとめしたという印象。

「イメージ政治」「政治のマーケティング化」に続いて、本書では「政治の情報武装」をテーマにしている。

p.92

「本書冒頭で、政治による社会と生活者に対する働きかけ、なかでも情報を活用するアプローチを「政治の情報武装」と呼ぶと述べた。政治の情報武装は伝統的にはいわゆるプロパガンダと呼ばれるような、偽情報の発言やあらゆるメディアを活用して動員のメッセージを発することであったが、現代においてはアプローチがいっそう科学的になり、民間の戦略と手法が積極的に活用されるようになっている。ここで「科学的」というのは、状況に関連するデータが収集され、整理・分析され、知見を抽出したうえで、アプローチを実施することで、その結果を評価し、また次のアプローチに備えた収集を行うというサイクルを形成している政党もある。」

『メディアと自民党』では、自民党の情報武装を題材にしたということになる。

メディアと自民党 (角川新書)

メディアと自民党 (角川新書)

 

 

本書の6章以降では、他政党(特に共産党公明党)におけるメディア戦略も取り上げられており、とても興味深い。

p.165

「生活者が接触する政治情報は外観に美しく手が加えられ、~甘ったるいものとなっている」「政治上の意図、背景と構図を読み解き、直視したくない、口に含むと苦い情報を生活者に届けなければならないのだが、それは誰か。困難な課題が残る。」

6章はこのように締めくくられている。

一見、研究者・知識人の役割のような気もするが…

著者はどのような存在を想定しているのだろう。

 

ただ、著者はここ数年で多くの本を出版しているためか、特に5章まではこれまでの論考と内容が被っている部分も多い。

様々な視点から政治とメディアについて考察されているが、その反面、本書独自の内容に割いている紙面が少ない。特に6章の各政党における現在の情報発信については、それぞれの政党についてさらに考察してもよかったのでは、と感じた。

 

遠藤薫の「間メディア」とサンスティーンの「集団分極化」を前提とした研究がもっと進んだら色んなことが明らかになりそう。

色んなこと…?